さて、ここで驚くべきことは? “ほうとう”という漢字も“はくたく”という漢字も、表題に書いてある通り一緒の『餺飥』なのです。とても難しく、普段全然使わない漢字たちですよね。この字をぱっと見せられた時にまず読める人はいませんので、そういう意味からも、ほうとうのお店ではほとんどすべて『ほうとう』というふうに平ガナで表記されています。ただ、はくたくうどんの場合は、ほうとうに比べると知名度は抜群に低いと思うのですが、このわたくしが見つけた、宇陀路室生(うだじ・むろう)という道の駅では、確かに漢字で書かれていて、でも読めないのでカッコして「はくたく」と読み仮名が付いていた感じがします。
なんでも東大寺の方の別のお店でも餺飥(はくたく)うどんは売られているようですが、よく考えると「はくたく」と「ほうとう」という二つの単語というのは、「はくたく」⇒「はふたふ」⇒「はうたう」⇒「ほうとう」という様に、語感というか、そういうものを変化させると、微妙に、このふたつの単語は語感が似ており、ひょっとしたら「はくたく」が長らく言い伝えられていく内に「ほうとう」という風になったのかもしれません。 いわば「ホワイトシャツ」が「ワイシャツ」になったようにですね。また、「はくたく」という平ガナでも、「ほうとう」というのを旧字体で書くと「はふたふ」(これは発音は「ほうとう」と書くことになるので、微妙にほうとうと語感が似ていますね。(註.昭和初期の表記だと、例えば『○○しましょう』という文章も『○○しませふ』と書かれたりするので、「せふ」は「しょう」と読む訳です。なので、同じように「はふ」は「ほう」になる訳です。)これも面白い、興味深いことです。ひょっとしたらやはり「ほうとう」の語源は「はくたく」なのかもしれませんね。こちらの方が古いそうですから。しかし、この1cmから3cmぐらい幅があるような、そしてすごく薄いきしめんの、更にその薄さを究極的に極めたようなうどんと言いますか、きしめんである様な『餺飥(はくたく)うどん』は是が非でも買って来るべきだったと非常に後悔しています。
わたくしも結構いい加減な性格なので、こんな凄いうどんを見つけてすごく喜んでいた割には、1週間もすると、もうその名前すら、そして使用している漢字すら忘れてしまったので、今回このブログを書くにあたって、もう一回『宇陀路室生』の売店にわざわざ電話をかけて、そしてあの幅の広いうどんの名前は何だったかというふうにお尋ねしましたところ、声の綺麗なお姉さんが、食ヘンに、つまり食べるというヘンに、 『博士』の右側のツクリの部分の字ですよ…というように一生懸命説明してくださいました。なにせ音声で説明しようと思っても、なかなかこの漢字自体大変ですものね。そんなドラマがありました。
附記として補足しておきますと、前回の第2回目を読んでくださったFacebookのお友達からコメントを頂きまして、奈良の東大寺近くの『なら屋』さんでもこの『餺飥(はくたく)うどん』の御膳がいただけるそうです。また、群馬県には、前に書いたような「ひもかわうどん」というのがあって、各店舗で幅の広さを競っているようで、実に驚くべきことに7cmとか10cmの幅のうどんがあるようです。これもびっくりですが、ぜひ一度そんな幅広い、きしめんの化け物のような麺に、おメンに、あ、いや、お目にかかりたいものですね。想像するに“餃子(ぎょうざ)の皮を四角くして、それをつなぎ合わせたような”感じでしょうかね?
なお、更に附記ですが、今このブログの話題を、普段あまり会話の無い…( ゚Д゚)……わたくしのダンスパートナー(奥様)の陽子先生にお話ししたところ、陽子先生の母親の在所(故郷)は群馬県なものですから、当然、「ひもかわうどん」のことは知っていましたが、更に新情報として、昔よく『おきりこみ』といううどん料理?を作ってもらったとのことでしたので、この『おきりこみ』を、今は便利なネットで何でも調べられる時代ですから、検索しましたら、これまた『ほうとう』と似たような郷土料理との事ですので、今回は、アイキャッチ画像は、このWikipedia(インターネット上の百科事典)から引用させていただきます。ちなみに、『おきりこみ』は『おっ切り込み』という風に、小さな『っ』(これを「促音=そくおん」と言いますね)が入っており、その解説はWikipediaよりの引用ですと『おっきりこみ(おっ切り込み)は、煮込み麺料理の一種で、群馬県や埼玉県北部・秩父地方の郷土料理。地方によって違う呼称で呼ばれることもある。農山漁村の郷土料理百選に選定されている。』とのことです。(これで、餺飥うどんの章は終わり)
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