(132)ダンス競技会の音楽係(第4回)

レッスンや競技会
これは、競技会音楽の速度の大体の目安です。こんな感じになっています。

今回の業者さんはUSBメモリーに、音楽を録音して、また慎重に何かあった時のためにCDにも同じように録音して用意していますが、USBで音楽再生した場合には、機器のピッチ・コントロール機能(演奏速度を遅くしたり速くしたりする調節機能)は使えません。時々、これら音楽の再生速度が問題になります

皆様、ご存知かもしれませんけれども、世界的に共通な競技会の音楽の演奏速度(の範囲)というものが決められています。これは当然で、例えばワルツと名の付く音楽ならば何でも良いかと言えば、当然、あまりにも速い速度のワルツでは、社交ダンスのワルツは踊れませんし、あまりにも遅くても同様です。ワルツの場合は、アイキャッチ画像(このブログの表紙絵)にも書きましたように、通常28から30というテンポになっていますが、これはどういう事なのかをちょっと解説しましょう。アイキャッチ画像でも説明があるように、これは1分間に演奏される小節数が28小節から30小節ならば良いという意味です。1分間の小節数が28という事ですが、では1分間に演奏される“4分音符(しぶん・おんぷ)”の数はいくつとかと言いますと、ワルツは3/4拍子なので、1小節には3個の4分音符があります。という事は、1分間に28小節×3個ということで、84(この4分音符)が演奏される速度であるという事になります。時として、むしろ一般的には、CDのケースなどには、表記としては♩=84と書いてある場合も多いので注意が必要です。知らずに、♩=28と勘違いしてメトロノームなどを設定すると、それは、1分間に28個の4分音符という事になって、めちゃくちゃ遅いワルツになってしまいます。

音楽係としての重要な留意点は、そういう速さの範囲を守っていないとダメだという点です。なので、ただ単に、その種目の曲を再生機器でかければいいと思っている、ごく普通の音楽業者さんで、あまり競技ダンスや社交ダンスに詳しくない業者さんを雇ったりすると、そういう点で、ちょっと困ることになります(ただし、真の問題は、そういう音楽業者さんを雇うのがいけないのではなくて、ダンス競技会開催の組織側の、わたくしのような“音楽係”が、うまくそれを伝達して、監督したり適切な指示を出すことが重要なのです。むしろ、機器に関しては、専門の音楽プロの方が望ましいでしょうね。)

また、 例えばですが、『シボネー』などという音楽は、時々、社交ダンスのCDで“ルンバ”などと書かれていますが、これはむしろフレンチルンバというか、シャッセルンバ用の曲なのですごく速いのです。(多分、キューバン・ルンバの2倍くらいの速さ)なので、ダンス音楽のCDにあるからといって、何も確認せずにこういう曲を取り入れたらえらいことになります。 そういう微妙な注意点もありますので、やはりある程度競技ダンスの経験者などが音楽業者さんをやってくれると一番良い訳ですし、業者さんがそういう人でなくても、要するにそこでわたくし達のように、ダンス組織の側の人間が音楽の監督係のような立場で、業者さんの傍についていれば問題ない訳です。

EPSON MFP image

ただ、時々非常に困る、ある種の問題が浮上します。今回の競技会(と言っても、このエッセイでは、わたくしが特定の競技会について述べているという訳ではないので、一般的なお話を今までしてきたのですが、“今回”というのは、特に令和3年11月28日(日)に、愛知県一宮市の“一宮スポーツ文化センター”という会場で開催した競技会のことを指します。)の場合、その業者さんの音響スタジオで録音した音楽が、会場の電圧とか電流によってでしょうか……?多少速度的に速く、だいたい感覚的には2%ぐらい速く演奏されてしまったようなのです。

驚くべきことに、こういう事がある訳です。そうすると、せっかく事前に速度28でチェックしても、実際には30か、31でかかってしまったりすると、下手をすると速すぎて、前記の競技会用音楽の演奏速度の範囲を越えてしまいますので、ちょっと問題になる訳です。

ここで皆様にお尋ねしたいと思いますが、もしこういう知識に詳しい人がいらっしゃいましたら、ぜひともご教示いただきたいのです。 例えばCDなどをかける場合、公会堂とか市役所ホールのような、大きく広い会場では、電圧とか電流の関係によって演奏速度が遅くなったり速くなったりすることがあるものでしょうか?またCDは非常に普及している一般的な例なので、そういうことはないかもしれませんが、例えば何か録音したカセットテープ(まあ今時カセットテープは使いませんが…)とかミニディスクとか、またはUSBメモリに録音した音源などは、そういう会場の電圧とか電流、または全く想像もしてないような、他の 要因によって再生速度が変わるものなのでしょうか?そういうことをちょっと教示いただきたいです。確かにこの前述の会場では、実際の競技会本番において再生した音楽を、わたくしのスマートフォンに録音して、そしてそれをメトロノームで速度を測定しましたら、スタジオで同じ曲を用意する段階で、メトロノームで確認した速度よりも、ほんの少し(1%ほどか…)速めに演奏されていました。なので、これはやはり事実として、そういう事がある訳ですが、その原因が何か知りたいわけです。何卒宜しくお願い申し上げます。(第4回終了。第5回目に続く)

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