(75)古い民話からのパロディ

懐かしい昔の事柄、ドラマ、アニメ、出来事、思い出
こんな水神様が現れたら、斧なんかどうでもいい。1回でいいからデートしたい

昔あるところに。 能天気な樵(きこり)がいました。あるとき大きい湖のほとりで木を切っていたら、不用意に手が滑って、使い古した古い錆のある斧(おの)が湖の中に落ちてしまいました。『ああ、こったらえれえ事になっつまったジ』とうろたえていると、湖の中から すごい美人の女性の神様が現れて、『お前が落とした物は、この金の斧かそれかこの銀の斧か、それかこの古い半分錆びた斧か?』と尋ねてきましたが、樵は一瞬何が起こったか判らずに放心した態でその場に立ちすくんでしまいました。昔、樵の祖先がそういう状況になって、神様が現れて、何か高価な斧に換えてもらったという民話は聞いたことが有るような無いような気がしましたが、何せ、その美人の水神様と言ったら、超マイクロビキニで、こう言ってももう判らないくらいに古い例になりますが、何せ、武田久美子さんの貝殻ビキニそのものだったのです。そのため、樵は金の斧どころか、自分の股間が金の斧になってそそり立ちそうだったので、『ナゾにすべえ』とドギマギしました。(註1. 『ナゾにすべえ』とは民話や昔話でよく使われる、東北地方の方言みたいなもので、ナゾ=謎=わからない事=どのようにかして解決することなので、要するに、『どの様にしたらよいか』という意味です。“すべえ”は“するべきか”という意味です。)

さて、その樵はしばし考えて、性欲よりもまずは銭だと思い、昔祖先から聞いたような、教訓的な民話を思い出して、正直に『その柄も腐って使い物にならないような斧です』と答えました。すると美人で超マイクロビキニの水神様は『おまえは正直者だ。では元々のお前の斧と、正直のご褒美(ほうび)として金の斧も差し上げるぞよ』と言って、2本の斧を渡してくれたので、樵は有頂天になって『やったぁ‼』と叫びながら喜びに打ち震えました。そして、あとで交際を申し込もうと思いながらも、しかし相手が金をくれたのだから、それなら、オラがデートするときは、一体1時間いくら払えば良いのか、はたまた店外デート(と言うか、湖外デート)なんてそもそもできるのか?それか相手は既に露出度の高いビキニだから、いきなりホテルに誘うッぺか…。』などと、昔、町に行った時に一度だけ訪れた出会い系喫茶のデートシステムを思い出して考えていると、はっと気が付くと、もうするすると湖の中にもぐって帰ってしまったのか、美人の水神様の姿は掻き消えてしまっていました。

古い、古い、遠い遠い時代の民話や昔話がたっぷり楽しめます。遠野物語の更なる史料集のような感じ。人が蛇になった話や、天狗の話、死んだり生き返ったりの話です。

放心から解け、デートの望みも絶たれた今となってはどうしようもなくて、しかし時間が経つと『金の斧があるなら、この古い斧はもう必要ないや』と思い、その古い斧は湖深くに投げ捨ててしまいました。樵は考えました『さてはこの先、樵なんかやめて、この金の斧を高く売り払って、明日からはその金で極楽三昧するジョ。莫大な金がゲットできれば、何もマイクロビキニの水神様とHしなくても、雄琴(おこと)にでも繰り出せばええジョ』と思ってえっちらおっちら家路を急いでいました。(註2.雄琴(おこと)とは、琵琶湖の近くにある町の名前で、ソープランド街として有名です。)

そうしたらいつも帰りに通る、大きな川の橋の手前に差し掛かった時、橋の上に、シベリアンハスキーのような大きな犬が、ステーキ肉をくわえてじっと湖面を見ているではありませんか?『どうしたんだべ、まさか、犬の分際で世の中嫌になって自殺しようってんじゃあるめ~~な、しかもおいしそうな肉をくわえてるのに』と思う間もなく、突然犬は、今までじっと見つめていた湖面に向かって、ワンと大声で威嚇的に吠えたので、口の肉はそのままざぶんと川に飲み込まれてしまいました。『なったら馬鹿な犬だべ。あんなうまそうな肉を食わずに川に捨てるなんて‼』と樵は思い、何とか取り戻せないかと、ササッと犬に駆け寄って、水面に手を入れましたが、樵はうっかり忘れておりました。自分の手が金の斧を握っていたことを。なので、あっという間に金の斧も川に飲み込まれてしまいました。揚子江のような大きい川なので、とてもそこに飛び込んで斧や肉を取り返すのは不可能です。能天気な樵は放心したまま、そこに何時間も、何時間も立ち尽くしたとさ。ドットハライ。(註3.ドットハライとは、註1.に解説した如く、同じく民話などを締めくくる表現で、『これでお話は終わり、めでたしめでたし、チャンチャン』という意味の言葉です。今回、終わりの内容はそうめでたくもない様ですが、お後がよろしいようで……)

(編集後記)…特に斬新な話ではありませんが、今まである民話をパロディ長に面白おかしく、簡単に書き換えてみました。古い伝統的な民話を“冒涜”するつもりは全くありませんので、ご了承くださいませ。それどころか、これをきっかけに、上記の画像の『聴耳草紙(ききみみそうし)』や遠野(とおの)地方の河童やオシロ様の民話を集めた『遠野物語』などをぜひとも、この機会に一度お読みください。素晴らしい昔の話の世界が広がります。

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